
不妊治療の終わりがみえなくて辛い

友達に子どもができたのに素直に喜べない
不妊治療に関して、このようなお悩みをお持ちではありませんか?
「子どもが欲しい」と望み始めたときに、人によってはすぐに妊娠の喜びを得られるものの、中には時間が必要な方もいます。
周囲の人たちが家庭を築いていく中で、「なぜ自分たちは子どもができないのか」という疑問と不安に押しつぶされることは珍しくありません。
この記事では、辛い不妊治療が原因で不妊うつになる可能性や、不妊治療が辛いと感じる理由について解説します。
また、辛い不妊治療を乗り越える方法もあわせて紹介するので、不妊治療を実践する際の参考にしてください。
- 不妊うつの特徴
- 不妊治療が辛いと感じる理由
- 辛い不妊治療を乗り越える方法
- 辛い不妊治療のやめどき
この記事の監修者
辛い不妊治療が原因で抑うつ症状がでる可能性がある
不妊治療を受けているなかで不安やストレスが増え、うつ症状が現れる人は多く、その数は増加しています。
厚生労働省のデータ(参照:厚生労働省「第15回出生動向基本調査」)によると、不妊で悩んでいる人の約半数が精神的な治療経験があると報告しており、不妊によるストレスは無視できない問題です。
さらに国立成育医療研究センターの調査によれば、高度不妊治療を受ける女性の半数以上が抑うつ症状を経験していることが明らかにされました。
これは、心理的な負担が身体的なものと同じくらい重大であることを示しています。
治療の過程で感じる不安や圧力は、心身に重大な負担をかけることがあります。
そのため、不妊治療を受ける際は心と身体の健康への配慮が大切です。
不妊うつ(妊活うつ)に注意しよう
不妊治療中の心理的ストレスは、「不妊うつ」として知られる深刻な状態を引き起こす可能性があります。
「不妊うつ」とは、子どもを望みながらも授からないストレスから生じる心の不調のことです。
公式な診断名ではありませんが、「妊活うつ」や「不妊ノイローゼ」とも呼ばれ、生活に大きな影響を及ぼします。
特に、不妊治療を周囲に打ち明けにくい文化的背景が、孤立感や理解されにくい状況を作り出しています。
不妊うつは、単なる一時的なものではなく、適切なサポートや治療が必要です。
不妊治療による精神的ストレスを感じたら医師に相談し、適切なケアを受けることが大切です。
不妊治療が辛いと感じる5つの理由
不妊うつや不妊治療が辛いと感じる理由として、以下の5つが挙げられます。
- 終わりが見えないから
- 費用が高いから
- パートナーとの関係が悪くなりやすいから
- 周囲の解任報告を純粋に喜べないから
- 不妊治療自体にストレスを感じるから
子どもが欲しい2人にとって、不妊治療は前向きな治療です。
しかし、2人にとって悩みなく治療を進められるわけではありません。
不妊治療を進める夫婦が抱える悩みを、確認してみましょう。
終わりが見えないから
不妊治療には、成功の保証がありません。
具体的な結果が保証されていないため、続けるべきか否かの判断が難しいのです。
妊娠を願って治療をスタートするものの、期待が裏切られることの連続は、精神的なストレスを増大させます。
また、年齢が上がるにつれて妊娠確率が低下するという事実も、不安を増幅させる要因となります。
このような状況では、心の健康を維持することが難しいため、適切なサポートと理解が必要です。
費用が高いから
基本的な妊活用品である排卵検査薬や妊娠検査薬の費用は比較的抑えられます。
しかし、不妊治療が専門クリニックで必要になると、経済的負担は格段に増大します。
特に、人工授精や体外受精などの高度治療に進むと、治療費はさらに高額になります。
保険の適用範囲が拡大された2022年4月以降も、長期間にわたる不妊治療は家計に大きな影響を及ぼすでしょう。

この経済的な負担が精神的に辛い状況につながることがあります。
そのため、経済的な計画やサポートを得ながら不妊治療を進めることが大切です。
パートナーとの関係が悪くなりやすいから
不妊治療を行う際は、パートナー間での負担が半分というわけではありません。
特に女性は、周期的な受診や採血、内服や注射などの細かい治療を行う必要があるため、精神的・身体的な負担が大きくなります。
一方、男性の関与は比較的少なく、精液検査や必要なタイミングでの精子提供にとどまることが多いです。
そのため女性側が感じる負担の重さを完全に共有することは難しいです。
この負担の差が原因で、パートナー間には理解しあえないことから摩擦が生じやすくなります。
特に女性が直面する身体的な痛みや精神的なストレスを、パートナーが十分に理解できない場合に、すれ違いが生じる可能性が高まります。
夫婦で不妊治療を乗り越えるためには、お互いの負担を理解し合い、支えあうことが大切です。
周囲の懐妊報告を純粋に喜べないから
周囲の妊娠報告が精神的なストレスになることがあります。
特に、自分より後に結婚した友人からの「妊娠しました」という知らせは、深い落胆を感じさせることがあります。
「なぜ自分だけが…」という疑問や、友人の幸せを素直に喜べない自分への自己嫌悪も、不妊治療中に抱えがちな感情です。
これらの複雑な心境は、友人関係にもひびを入れ、孤立感を深める原因となります。
このような精神的な負担は、治療の進行とともに不妊に対する苦痛を増大させ、抑うつ状態を引き起こすリスクを高めます。
不妊治療自体にストレスを感じるから
不妊治療を受ける過程では、以下のようなストレスが伴います。
- 治療にかかる時間
- 経済的負担
- 急な診察日の変更
クリニックでの長い待ち時間や、同じ治療を何度も繰り返し行うことが、停滞感を強める原因です。
さらに、保険が適用されても、長期間にわたる治療費は経済的な負担を大きくします。
また、急に設定される診察日や治療日は、スケジュールを調整する上でのストレスの原因です。
職場への急な休暇申請やシフト変更は、精神的な負担をさらに高めることにつながります。
これらのストレスが組み合わさることで、不妊治療が辛いと感じるようになり、抑うつ状態を引き起こす原因になります。
不妊治療で生じる辛い痛みの5つの種類
不妊治療において生じる痛みも、辛いと感じる原因の1つです。
不妊治療では以下のような痛みが伴います。
- スクリーニング検査や子宮卵管造影検査
- タイミング法
- 人工授精
- 体外受精や顕微授精
- 治療時の注射
それぞれの治療の過程で、なぜ痛みが生じるのかを確認してみましょう。
スクリーニング検査や子宮卵管造影検査
不妊治療において行われるスクリーニング検査や子宮卵管造影検査は、子宮や卵管の健康状態を確認するための検査です。
これらの検査では、子宮内に造影剤を注入し、子宮の形状や卵管の通り道、周囲の組織との癒着状況を調べます。
検査中に感じる痛みは主に以下の2箇所で起こります。
- チューブの挿入時
- 子宮の拡張時
最初は、子宮へアクセスするために専用のチューブを挿入するタイミングです。
子宮口が狭い場合、挿入する際に痛みを感じます。
次に、造影剤を子宮や卵管に送り込むタイミングです。
子宮が拡張することで強い痛みを感じることがあります。
特に卵管が狭まっているか、何らかの理由で閉塞している場合、強い痛みが生じます。
タイミング法
タイミング法は、排卵日を見計らって性交渉を行う方法であり、直接的な痛みは伴いません。
しかし、最適な妊娠のチャンスを見定めるには、血中のホルモンレベルを定期的に確認する必要があります。
ホルモンレベルを確認する際に行われる血液検査が苦痛と感じられる場合があります。
血液検査は、排卵日の正確な予測には不可欠でありながら、針を用いた採血が苦手な方にとっては辛いと感じる原因の1つです。
人工授精
人工授精は、排卵時に精子を子宮内に直接挿入し、妊娠を促す治療法です。
この方法は、女性の卵管が正常に機能している場合に適用されます。
治療では、精液から選別された精子を使用します。
直接子宮内に精液を注入する場合、精液中のプロスタグランジン(筋肉を収縮させるホルモン)が子宮の収縮を引き起こし、痛みが生じる点に注意が必要です。
さらに、精液に含まれる細菌が感染症の原因となるリスクも指摘されています。
これらの痛みやリスクは、人工授精が心身に及ぼすストレスの一因となり、不妊治療が辛いと感じる原因の1つです。
体外受精や顕微授精
体外受精における痛みは、主に採卵時に生じます。
採卵は、卵巣の位置を経腟超音波で特定した後、膣を通して卵巣に向けて細い針を挿入し、卵胞から卵子を吸引して回収します。
針の挿入時や吸引時に痛みが生じるため、注意が必要です。
施設によって異なりますが、採卵の痛みを軽減するために、麻酔を用いることがあります。
人によっては麻酔の効果が強く、採卵が終わるまで何も感じない人もいれば、少しの痛みとともに快適に過ごせる人もいます。
痛みが不安な場合は、医師に相談してみましょう。
治療時の注射
不妊治療時に、特に辛いと感じる部分として筋肉内注射があります。
筋肉内注射の特徴は、薬剤を腕や太もも、臀部の筋肉に直接深く注入する方法です。
筋肉内注射は皮下注射や静脈注射と異なり、より深部に薬剤を届ける必要があるため、針をほぼ垂直に挿入します。
このため、他の注射方法に比べて痛みを強く感じやすいです。
筋肉内注射は、即効性や持続性を求める治療や粘度の高い薬剤を用いる場合に使用されることが多く、薬剤の吸収速度や量に優れています。
しかし、これらの特性が、注射時に感じる痛みや身体への負担を大きくする原因となっています。
辛い不妊治療を乗り越える方法3選
痛みや精神的に辛い不妊治療ですが、子どもが欲しい夫婦にとっては希望の治療です。
辛い不妊治療を乗り越えるためには、以下の3つを意識しましょう。
- 1人で頑張らない
- SNS上で不妊治療を頑張っている人とつながる
- 定期的に休息をとる
周囲に頼りながら、不妊治療だけに意識が向かないように進めていきましょう。
1人で頑張らない
不妊治療は、パートナーと協力しながら進めていきましょう。
治療において女性が主に病院を訪れることが多い中、パートナーも積極的な関わりを持つことが大切です。
具体的には治療の内容や結果を共有することで、共に治療に取り組んでいるという意識が生まれます。
さらに職場や身近な人々にも状況を共有することで、必要な時に休暇を取りやすくなり、ストレス軽減につながります。
不妊治療のプレッシャーをパートナーや周囲と共有することで、孤独感を軽減し、精神的な負担を減らしましょう。
SNS上で不妊治療を頑張っている人とつながる
実生活で不妊治療を経験している人を見つけるのは容易ではありません。
しかし、SNSを活用することで、同じような状況にある人々とつながることができます。
SNSは、経験談の共有や有益な情報の交換の場として活躍します。
しかし、SNS上には確かな根拠に基づかない情報が共有されている場合もあるため、注意が必要です。
情報を選別し、信頼できるコンテンツに基づいた交流を心がけましょう。
SNS状での交流を通じて、不妊治療の過程で感じる孤独感や辛い気持ちを和らげ、精神的なサポートを受けることが可能となります。
定期的に休息をとる
不妊治療は、精神的にも身体的にも負担が大きいため、治療の合間に休息を取ることが大切です。
連続した治療で心身ともに疲弊している際には、少しの間でも休憩を取ることを検討しましょう。
休息期間中に普段は控えているお酒を適量楽しんだり、旅行に出かけたり、好きな食事を満喫したりすることで、ストレスの軽減につながります。
こうしたリフレッシュを通じて、治療に対する前向きな気持ちを取り戻すことができるのです。
時には自分自身と向き合い、心身の健康を第一に考えることが、不妊治療を乗り越えるために大切です。
辛い不妊治療のやめどきは40〜45歳!
不妊治療において、年齢は重要な要素であり、特に40代になると自然妊娠の可能性は著しく低下します。
以下の表は、日本産婦人科学会が発表した不妊治療における年齢別妊娠確率です。
年齢 | 不妊治療後の妊娠率 |
---|---|
20代 | 約25〜30% |
30〜34歳 | 約25〜30% |
35〜39歳 | 約18〜26% |
40〜44歳 | 約5〜16% |
45歳 | 約4% |
上記の表から40歳を超えると妊娠率が大幅に低下していることが確認できます。
不妊治療は心身に大きな影響を及ぼすため、健康状態や生活状況を考慮しつつ、適切なタイミングでやめる決断をしましょう。
辛い不妊治療を続けても授からない可能性もある
不妊治療のタイミング法や人工授精を何度も試みても、妊娠に至らないケースは珍しくありません。
特に3〜4回目の治療を試みた後は、妊娠率は2%未満にまで低下するため、同じ方法を続けることによる効果が期待できない場合が多いです。
治療を4回以上重ねても妊娠に至らない場合は、体外受精を検討しましょう。
多くの場合、タイミング法や人工授精で結果が出ない方は、体外受精を通じて妊娠の可能性を高めることが推奨されます。
不妊治療に関するよくある質問
不妊治療では何が辛いですか?
不妊治療を受ける中で、多くの人が明確な終わりが見えない不安や焦りを感じることがあります。
治療を長期間続けても望む結果が得られない時に「どうして自分だけが…」という思いや、周囲の妊娠報告に心から喜べない複雑な感情に苛まれるかもしれません。
このような状況は、抑うつ症状を引き起こす原因となります。
不妊治療はいつやめるべきですか?
不妊治療の終了を考える年齢の目安としては、40〜45歳が一般的です。
加齢に伴い、妊娠の可能性は自然と減少します。
40代に入ると、性交渉による自然妊娠の確率は約1〜5%、胚移植による妊娠率も15%以下まで低下すると報告されています。
特に40代の妊娠は、41歳から42歳の間に多くみられる傾向です。
この年齢範囲を超えると妊娠確率の低下に加え、母体や胎児へのリスクも高まるため、治療の継続について慎重に検討しましょう。
不妊治療で体調が悪くなることはありますか?
不妊治療中に使用される内服薬や外用薬、注射用ホルモン剤などの薬剤は、副作用を引き起こすことがあります。
主な副作用の例は以下です。
- 吐き気
- 頭痛
- めまい
- 眠気
- 発疹
- かゆみ
さらに、より重大な合併症として血栓症のリスクがあることも知られています。
少しでも体調に不安を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。
不妊治療の注射は辛いですか?
多くの方が不妊治療における筋肉内注射の経験を特に辛いと感じています。
筋肉内注射は、薬剤を腕や太もも、臀部の筋肉に直接深く注入する手法で行われます。
皮下注射や静脈注射が針を斜めに挿入するのに対し、筋肉内注射ではより深部へと直角に近い形で針が挿入されるため、感じる痛みの程度が強くなりがちです。
辛い不妊治療を頑張る期間はパートナーと決めよう!
「不妊うつ」とは、不妊治療や妊活によって心や身体のバランスが崩れた状態を指します。
終わりが見えない不安や高額な治療費は、多くの夫婦にとって重大なストレスとなります。
不妊治療の過程でうまくいかないときに、ストレスを感じることは自然な反応です。
しかし、パートナーと協力し合ったり、自分に合ったストレス解消法を見つけたり、専門家からのサポートを受けることで、心の負担を軽減することが可能です。
不妊治療の道のりは孤独な闘いのように感じられるかもしれませんが、サポートを求め受け入れることで、周囲と力を合わせながら乗り越えていきましょう。